呪術(祈祷)の対象とは? 不登校・引きこもりのお話。

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

香苗です。

 以前、お子様の不登校についてのご相談があり、ご祈祷させていただいた時のことです。
学校でのちょっとした出来事から不登校がちになり、友人から言われた一言がきっかけで完全に引きこもってしまったとのこと。
依頼者である親御さんの希望としては「新学期までには絶対に今までどおり学校に行くようになってほしい」と。
親御さんの焦る気持ちも理解できますし、お子様の「どこにも味方がいないのではないか」という不安もよく分かります。

 祈祷をお受けするにあたり親御さんにお伝えしたのは、「いろいろな選択肢があるということを認識してください」ということでした。
親御さんの焦りやイライラは、すぐに子どもにも伝わるものです。その結果、前述のように「自分にはどこにも味方がいない」と感じてしまいます。
果たして、今までどおり学校に通えるようになることがベストの選択なのか?
「いろいろな選択」について、次のような例を示しました。
 ・学校ではなく家庭で学習を続けることはできないか。不登校専門の家庭教師という制度もある。
 ・フリースクール、チャレンジスクール。
 ・通信制、定時制などの学校を選択する。
 ・就職する、あるいは趣味が転じて自分で仕事ができるようになる。
 ・海外に視野を向ける。

 そして、お子様がどのような選択をしてもそれを寛大な心でまずは受け止めてあげてください、とお願いいたしました。
頭ごなしに否定したり、話しを聞くふりをしながら自分の意見(復学)を通そうとするのは逆効果です、とも伝えました。
 祈祷が始まり、その後依頼者である親御さん自身もいろいろな進路を調べられたようです。
そして、「子どもがどういう選択をしても受け入れる。そして子どもの方から自分の意見を言えるような環境を作って行く。」ともおっしゃいました。

 それから間もなく、状況は動きました。
結果的には、親御さんが一番理想としていた「復学」が叶ったそうです。
徐々に「学校へ行ってみようかな」と言い始め、実際に登校し、さらには「明日も行きたいから早めに起こしてほしい」と言うようになられたそうです。

 祈祷をお受けした際に、その対象として位置付けたのはもちろん不登校のお子様自身でした。
ただし、前述のように、時には事情を知る家族や仲間も巻き込み全体として案件に取り組むこともあります。
もし親御さんが頑なに「絶対に新学期までに学校に行けるようにならないといけない!」という意見を通そうとしていたならば、お子様はますます引きこもってしまったと思います。
果たして「祈祷の対象者」とは何なのでしょうかね。
祈祷行為は「力点」でありそれを「祈祷師」であるとすれば、期待する結果が表れる先の「作用点」が「対象者」と言えますが、
今回のように「お子さま自身」だけではなく依頼者である「親御さん」も考え方が変わり、その結果良い結末を得ることができました。

 呪術(祈祷)というものは、「憎い相手に悪さをしてやろう」という目的ではなく、あくまで「歪んだ現状を正す」ことが大義であると実感した一件でした。